流産の中で最も多いのが、妊娠6~7週の時期に生じる「稽留流産」です。
この「稽留流産」の場合は、掻爬手術を行う必要があります。
その際に子宮内には少なからずとも多少の傷を生じてしまいます。
流産後の手術を受けた際には、『子宮の回復』に努める期間が必要です。
医師の指示では、「流産後に1回生理が来たら子作りを再開してもいい」と言われるケースも多いようです。
しかし、これは誰しもに当てはまるものではありません。
あくまでも、『流産後から子宮が回復すれば子作りを再開する』というのが原則です。
流産を繰り返さないためにも十分に子宮回復の対策をした後に再開してください。
流産後の子宮回復は、「生理の状況(月経血の色・経血量・血塊・生理周期)などによって判断できます。
流産手術後、最低限“3回の生理”が生じていることが望まれます。
“生理”とは『流産後の子宮内の大掃除』なのです。
流産でお悩みの方は、妊娠できる力は十分備わっています。
あとは、その後受精卵を育てる「育む力」をつけることが先決です。
育む力とは、赤ちゃんが成長しやすい環境を整えてあげるということ。
酸素・栄養素がいっぱいある温かい子宮環境を整えてあげるということです。
出産への近道は、子宮内環境を整えてあげるということなのです。
それでは、「流産予防」のための漢方対策を説明していきます。
流産でお悩みの方には、『共通の想い』『共通の不安』があります。
何度も流産を繰り返しているからこその想い・不安です。
それは、『妊娠を確認した時点から、一気に不安が大きくなる』という点です。
「また流産するかも・・・。」という不安です。
それは流産をされた方なら誰しも感じる不安なのです。
意識していただきたいことは、“不安感”は交感神経を過剰に緊張させるということです。
交感神経が過剰に緊張すると、「子宮収縮」へと導かれます。
実は流産した際の子宮は、収縮傾向になっているのです。
だからこそ、この「子宮収縮」を避けたいのです。
子宮が収縮すれば、子宮の中のものを押し出そうとします。(月経血の排出の際にも、子宮は収縮しています。)
また、子宮が収縮気味になると血管も収縮し、子宮での血流は悪化します。
その結果、受精卵に必要な酸素や栄養素が子宮に届きにくくなるのです。
妊娠が確認されてからは、子宮を収縮させてはいけません。
ゆったりとリラックスした状態の子宮をキープさせましょう。
妊娠が分かった時点で“不安感”が大きくなることは、とても理解できます。
ですが、この“不安感”が流産を引き起こすスイッチになっていることもご理解下さい。
もちろん、不用意に子宮を収縮させないように漢方で対策をおこないますので、ご安心ください。
Q1・卵子の質が悪くて流産してしまったのか、なぜ流産になるのか原因が分からない
検査結果で何も異状がなく原因が分からないというかたは多いものです。その時に病院で言われることが染色体の異常や卵子の質が悪かった等のようです。実際は赤ちゃんをしっかり育てる力というのが重要であり、育てる力とは、血流なのです。 |
Q2・卵子の質って変わるのですか?
体質が人それぞれ違うように、卵子の質も年齢イコールとは限りません。そして、卵子を育てるために必要なのは血液です。しっかりとした栄養、高すぎない低温期さえ整えばしっかりかわります。 |
Q3・不育症で検査結果に異常が出ても大丈夫ですか?
検査結果で異常が出ても、しっかり体・子宮環境を整えていけば、妊娠 継続できる体作りは可能です。 |
Q4・赤ちゃん(受精卵)の育ちが悪いと言われるのはなぜ?
受精卵が細胞分裂(成長)に必要なのは、「酸素・栄養素」です。この「酸素・栄養素」は血液中に存在します。しっかりとした血液が子宮を満たさなければ、「酸素・栄養素」は不足してしまい育ちに影響するのです。 |
Q5・流産後、次の妊娠はいつから大丈夫ですか?
子宮が回復すれば大丈夫です。流産後、疲れ切った子宮をしっかり回復させなければ、また同じことを繰り返して しまう可能性があります。月経は子宮の大掃除の時期です。しっかり回復させるためには流産後、3回月経を 迎えたのちの妊娠が万全でしょう。 |
Q6・流産後、月経がなかなかこない
流産後に月経が来るのは流産後30日前後です。なかなか来ないということは、それだけ子宮の状態はよくないということなのです。本来なら、流産直後からの子宮回復対策が望まれます。 |
Q7・おしり・太もも等、腰周りが冷たいことが多い
手足の冷えのみならず、子宮に近い部分が冷えているということは体全体の血流が 悪いことを意味しています。 |
Q8・経血量の多さが他人と比べたことがないので分かりづらい
理想の月経期間は5日間です。そして、20代までは多い日が丸3日、30代以上は 丸2日ないといけません。これより少ないと経血量は少ないと言えます。 |
Q9・月経の時、ドロッとしたものや、塊があるのは普通ですか?
血の塊は血流が悪いことを意味します。血はサラサラしていないといけないとよく 言われていることです。実は月経の血の塊も混ざらず、サラサラしていないといけません。 |
Q10・月経痛でお腹が痛むこともあれば、腰が重い感じがすることもあるのはなぜ?
痛み方が違うということは、そこに関係する原因も違います。おおむね、下腹部痛は、経血を排出する際の急激な子宮収縮が原因です。腰の重い感じは、子宮・腹部を含めた血流悪化に伴うものです。両方ともに、子宮環境悪化に導くことは当然です。原因が違えば、改善する漢方も異なるのです。 |
「子宮に血液(酸素・栄養素)を送り続けて、受精卵(お腹の赤ちゃん)を成長(細胞分裂)させる」ためには、『あなたの体質に合った対策』を見つけることが大切です。
では、流産・不育の特徴的な体質とはどのようなものなのでしょうか。
以下の「5つの体質」に分けることができます。
①腎虚(じんきょ)
漢方医学において、腎虚とは「ホルモン系」「免疫系」などの機能異常により生じる症状全般を言います。これが、不妊の根っこの原因です。 |
②気虚(ききょ)
気虚とは、体内のエネルギー代謝が悪化している状態ですので、体内は『冷える』方向へと向かっていきます。不妊の方は、皆様「冷え」がありますね。 |
③血虚(けっきょ)
血虚とは、血液量の不足を意味します。 |
④気滞(きたい)
気滞とは、ストレス等により交感神経の過剰緊張が生じた状態を意味します。 |
⑤お血(おけつ)
お血とは「古血(ふるち)」とも言い、血液の流れが悪化している状態 を言います。 |
上記の「どの流産体質」なのかによって、「流産予防」のための漢方対策法が異なります。
まずは『体質チェック』を行うことで、ご自身の体質を見極めた上で、最良の対策法を見つけていきましょう。
流産予防のための「段階別」漢方対策法とは、『2段階』に分けて漢方対策することです。
1段階目は、妊娠反応が「陽性」を示すまでの対策期間
2段階目は、「陽性」の反応を示した直後からの漢方対策
簡単に言うと、受精卵が『着床するまでの期間』と『着床して以降の期間』に分けて漢方対策を行うことです。
これが重要なポイントになります。
なぜならば、流産をしないための「子宮への対策ポイント」が着床直後から変わるからです。
妊娠反応が「陽性」を示すまでの対策で、流産しないための土台作りを行います。
受精卵が着床後、しっかりと細胞分裂(成長)させるための準備作業としての対策を行う期間になります。
第一段階ポイント①~子宮のエネルギーを高める~ |
★漢方対策:補腎薬★ |
受精卵が着床して以降、受精卵を育てるための子宮は膨大なエネルギーを必要とします。着床前の段階では、あらかじめ子宮全体の活性を安定させ、子宮でのエネルギー消費効率を適切にするため漢方対策を行います。漢方医学では「子宮」を『腎』の一部として考えています。よって、「補腎薬」と言われる、子宮(腎)の力を補う漢方薬を服用します。 |
第一段階ポイント②~子宮内血流を向上、良質な子宮内膜を形成する~ |
★漢方対策:活血薬★ |
「活血薬」により子宮内血流を高めることで、古い子宮内膜を排除し新たな良質の子宮内膜の形成を図ります。「経血量が最近少ない、黒っぽいドロッとした月経血、血の塊が出る」などは、子宮内の血流が不十分な証拠です。受精卵が育ちやすい良質の 子宮内膜を作るためにも、子宮内血流の向上は大切です。 |
第一段階ポイント③~酸素・栄養素が豊富な、受精卵が成長しやすい環境を整える~ |
★漢方対策:補気薬・補血薬★ |
体内のどのような細胞でも「栄養素・酸素」が無ければ成長しません。受精卵の成長(細胞分裂)も同様で、「栄養素・酸素」が安定的に必要です。よって、「補気薬・補血薬」により、栄養素や酸素で子宮を満たしておくことが大切です。 |
上記のような作用を中心として、受精卵(赤ちゃん)を迎えるための環境作りを行います。
赤ちゃんを育むための大事な大事な“準備作業”が第一段階の漢方対策になります。
妊娠反応が「陽性」を示した時点で、早急に第二段階の漢方対策に切り替えます。
以下の3点を中心に対策します。
第二段階ポイント①~赤ちゃんを子宮内に留(とど)まらせる~ |
★漢方対策:補気薬(固摂作用)★ |
「補気薬」による『固摂作用』とは“必要なもの”が“その場所”から動かないように維持させる働きのことです。受精卵が子宮から移動せずにその場に留(とど)まるようにします。 |
第二段階ポイント②~「酸素・栄養素」供給の為の血流安定を促す~ |
★漢方対策:補血薬★ |
「補血薬」によって、子宮に血液を送り込み続けます。血液により酸素と栄養素を供給し続けますので、受精卵への栄養不足・酸素不足を予防することができます。 |
第二段階ポイント③~「必須栄養素群」の積極的補給~ |
★漢方対策:亜鉛・葉酸等の栄養素群★ |
受精卵の成長(細胞分裂)に欠かすことのできない「亜鉛」や「葉酸」を積極的に摂取することが必要です。特に安定期に入るまでは、成長不良にならないように、栄養素の継続摂取が望まれます。 |
そして、この期間に一番大事なことは『赤ちゃんが、すくすくと育っているイメージ』をすることです。
不安だらけのママではなく、赤ちゃんの成長を楽しみに思い描いているママでいてください。
そんなママだからこそ、赤ちゃんは安心して育つのです。
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